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ソニーReader補足・新Kindle

 昨日epub3.0に対応してるだろうと書いた新ソニーReaderですが、仕様を見るとepub2.0にしか対応していないようですね。残念。まあ、ソニーは将来的に3.0に対応すると明言していますので、一刻も早い実現を待ちましょう。ソニーReaderにepub3が実装されたら、鏡花の電子本もepubで作ってみたいと考えています。

 さてさて、同日に発表されたアマゾンの新Kindleですが、その思い切った価格設定は競争相手を震撼させるに足るものでした。wifiのタッチスクリーンモデルが99ドルですから、2万円の新ソニーReaderの半額以下です。色々な記事を見ていると、この値付けは文字通り赤字価格のようですが、それにはもちろん裏があります。

 たとえば99ドルのKindleタッチは、「Kindle with Special Offers」版と称されていて、つまり広告表示版、読書の邪魔にならない程度に広告が表示されるようです。広告なしの「Kindle without Special Offers」版は139ドルです。まあ、これでも十分に安い価格ですが。

 もう一つ、Kindleにはアマゾンのいわば通販カタログとしての絶大な効果が期待できます。分厚いカタログが無料で配られているように、Kindleを赤字価格で売っても、本が売れればすぐに穴は埋まり、利益が出るというわけです。

 つまりKindleはアマゾンのビジネスに組み込まれた販促ツールでもあるわけで、単独で利益を出さなければならないソニーとは、もともとビジネスモデルが違います。そう考えれば、新しいReaderもあの機能であの価格はかなり健闘しているのではないかと思います。

 問題はアマゾンがこのビジネスモデルをいづれ日本に持ち込む日が来るのか、ですね。持ち込まれれば、日本の電子書籍市場はアマゾンに席捲されて、独自フォーマットを押しつけられ、epub3にほの見える個人出版の未来も立ち消えになる心配があります。立ち消えにならなくても、アマゾンの掌の上で踊るだけ、ということになるかもしれません。

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新ソニーReader

 いやはや、昨日の今日で新しいソニーReaderが発表されちゃいましたね。

 予想できたことですが、昨日の勝手なお願いはほとんど空振りで、どうでもいいと思ってたwifiモデルばかりか3G付きのモデルまで来ちゃいました。しかも本を買うだけなら通信費が2年間無料、プラス月580円でウェブブラウズも可能と来れば、これはこれで面白そうですね。

 対応フォーマットにはもちろんepubが入ってますが、これは期待のepub3.0対応と考えていいのでしょうね。だとすれば、日本の電子書籍のオープン化にひとつのエポックとなる可能性はあります。

 この端末が爆発的に売れて、KindleやNookなどの専用端末が牽引してきたアメリカと同様に、日本でも電子書籍市場が急拡大する可能性はあると思います。だだし、向うではアマゾンやバーンズ&ノーブルの膨大な電子本が端末のバックにはあったわけですが、Readerストアの品揃えではあまりに貧弱で、このままではせっかくの魅力的なハードも生かせないでしょう。

 ソニーさんには、Readerストアでの商売に固執せずに、乱立している各書店にReaderを日本の読書端末の標準ツールとして受け入れてもらい、広く本が買えるような環境をめざしてもらいたいもんだと思います。

 折しも先日、電子文庫パブリにDRMが導入されて、ソニーReaderでは読めなくなってしまい、物によってはパソコンでしか読めないという時代に逆行した不自由化に首をかしげていた折から、切にブレークスルーを願う次第です。

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ソニーReaderへの注文

 前回、ソニーReaderをずいぶん持ち上げましたが、もちろんそれ以上に注文はたくさんあります。それをちょっと書き連ねてみます。

・現在の箱体は金属製で、プラスティックのKindleやNookにくらべて高級感を出していますが、これはあまり必要のない演出だと思います。要は持ちやすく手に馴染めばいいのです。金属外装というのは、冬などは肌触りが冷たくていけないし、軽さの点でも不利でしょう。プラスティックの方がデザイン的にも自由が効いて、新しいNookなど実に魅力的な仕上がりです。次はプラスティック外装でお願いします。

・Readerが出た当初はwifi機能がないことで落胆したコメントがたくさん出ましたが、個人的にはこれはどっちでもいいと思っています。本なんてそう毎日買うものではないし、緊急に必要になるものでもないので、じっくりパソコンで探して買ってUSBで転送という現状でもとくに不満はありません。それよりももっとソフト的なカスタマイズ性を高めてもらった方がありがたいかなと思います。

・そのカスタマイズで希望したいのがフォントの選択機能です。今はお仕着せのフォントでしか表示できないわけですが(それもあまり上等な表示ではない)、自分の好みのフォントを入れてそれで読めれば、電子本への愛着も高まると思います。さらに、文字の大きさもポイント単位で設定できて、行送りなども変えることができれば御の字です。

・そしてもちろん、epub3.0への対応。これは近々アップデートで実装されることを願っています。縦書き・ルビ・圏点をサポートしたオープン規格のepub3が普及して、各読書端末に実装されれば、自己出版のハードルも一気に下り、面白い時代が訪れそうです。「青空文庫」などもepub3に移行するのではないでしょうか。

・カラー液晶化はご勘弁を。アメリカではNookに続いてKindleにもカラー版が出ると話題になっていますが、これは本を読むための端末というよりも、雑誌やカタログ用をめざしたものでしょう。液晶画面は目に優しくないし、電池の持ちも悪く、じっくり本を読むツールには向いていません。専用読書端末とマルチデバイスはきっちり分けて考えるべきだと思います。

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読書端末の快感

 最近、ソニーReaderで漱石wを読んでいますが、実にスムーズに読めて、あらためて電子ペーパー式の読書端末の有用さを実感しています。

 実際の読書スピードはどうだか分りませんが、感覚として何の抵抗もなく流れるように読み進めていける感じ。読書端末を使い始めてから、これまで何の疎ましさも感じなかった紙の本に、ある種、読書そのものを妨げる物理的な要素があったのだということに、初めて気づかされたという気がしています。

 「何の疎ましさも感じなかった」と書きましたが、ちょっと訂正。最近、本を手に取るごとに、かすかな負担感のようなものを無意識のうちに感じていたのはまぎれもない事実のような気がします。重たさがいけないのか、表紙の固さや角のとんがりがいけないのか、はたまたあまり読書の興にプラスになっているようにも思えないハデなカバーデザインが鬱陶しいからなのか、読書という行為に行き着くには、越えなければならない小さなハードルが確かに存在するのです。

 まあ年のせい、と断言してしまっていいのでしょう。若い頃の烈々たる読書欲が衰えて、それと入れ代わりに、若い頃は意識さえしなかった読書の肉体作業的側面が前に出てきた。もちろん肉体的に一番負担を受けるのは脳味噌でしょうが、それを忌避すれば読書自体が成り立ちませんから、問題はそれ以外の外的な負担、すなわち紙の本の物理的性質から起因するものということになります。

 あ、そうそう、視力のこともあります。衰えた目にはもちろん小さな活字は大敵ですが、それだけでなく本ごとに活字が違う、フォントの種類やサイズ、字送り・行送りがバラバラなのも、考えてみたら衰えた目にはそれに慣れるまでに少々時間を要する、一種の負担なのではないかという気が(重箱の隅を突つくようですが)しています。そして、この活字の問題も紙の本の物理的性質の一つです。

 では、読書端末にはそうした物理的ハードルがないのかというと、もちろんあります。でも、それらは一定なのです。いつも同じ箱体の同じ手触り。活字もデフォルトのサイズが選べて、フォントも一定。ページ送りもボタン式にしてもフリック式にしてもいつも同じで、紙の本のように、紙の厚薄、本の大小、綴じ方や背表紙の固さによって、手が受ける感触、持ち扱いの作法が千変万化するということがない。そして、一定であることによって、それらは無意識化・抽象化され、物理的な負担感はどんどんゼロに近づく、といえば大仰かもしれませんが、それに近い感触を自分などは感じています。

 つまり、読書端末を通して、人は著者の草した素の文章によりダイレクトに接することができる。そこでは紙の本の物理的性質からくるさまざまな夾雑的感覚を忘れて、ニュートラルに文章世界そのものを楽しむことができるのです。

 いやいや、読書というのは、本の装幀やページの姿、紙の手触りやインクの匂い、つまり視覚・触覚・嗅覚と一体となって楽しむものであって、そんな素の文章が幻影のように宙に浮いているだけなんて、頼りなくて、味も素っ気もなくて耐えられない。そんな反論もごもっともだと思いつつも、今の私は、紙と電子、両方が選べる場合は、上のような理由から、たいてい迷いなく後者を選んでしまうと思います。

 ただし、ごく愛着の深い、何度も読み返したい、いつも近くに置いておきたい著者の場合は、紙の本を選ぶだろうと思います。電子本にはまだそんな偏愛を受けとめられるだけのクォリティが不足しているからです。この先、そんな質を獲得できるかも不明です。実は、このサイトで公開している鏡花の短編選は、自分なりに愛着の持てる電子本をめざして試作してみたものですが、これも紙面固定的なPDFというフォーマットとソニーReaderというステージを前提としているからこそできること。これから主流になるだろうepubなどのより流動的なフォーマットで、かつ機種横断的にそれができるかは、今後の日本の本読みの電子書籍への肩入れ次第かなという気がしています。

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やっぱりガラパゴスでした

 シャープの電子書籍端末ガラパゴス販売終了。

 最初、思い切ったネーミングを聞いた時はちょっと期待したのですが、中身はなんとも思い切りの悪い代物でしたね。

 機能の出し惜しみみたいなハードと、出版業界への配慮を優先してユーザーを縛りつけるストアシステム。

 食指はピクリとも動かず、遅かれ早かれという気がしていたのですが、ずいぶん早い退却でした。

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