ソニーReaderがメジャーアップデート

 久々に機器情報を。

 6月25日にソニーReader PRS-T3SとPRS-T2のファームウェアのアップデートが公開されました。新しいバージョンは1.1.00.18170です。手持ちのPRS-T2にはこれまで何度かアップデートがありましたが、数々の問題点はずっと手つかず。今回も期待せずに適用してみたのですが、意外や意外、大きな変化がみられました。また、AndroidのReaderアプリでも、同内容のアップデートが行われたようです。どう変わったのか、気がついた点を報告します。

1.深刻な読み込み遅延が解消
 Readerの問題点の一つに、1段落が特別に長い文章があった時、読み込みが極端に遅くなるという現象があることを、これまで折に触れて指摘してきたのですが、アップデート後、その現象を引き起こす自作本『鏡花短編選 世話編』を読んでみると、これまで引っかかっていた「假宅話」の問題箇所がほぼスムーズに読めます。また同じ『深山編』で「銀短冊」に指示のない空白行ができる現象も解消されています。ReaderのEPUB3対応以来、2年越しの個人的?懸案の一つがこれでめでたく解決しました。ただ、このためでしょうか、最初に本を開くと、読み込み中の表示がノンブルの所に出て、更新前よりかなり待たされる感じです。その間、普通のページ送りは問題なくできるようですが、目次からのジャンプなどはできなくなります。メカニズムはよく分かりませんが、本を最初に一気に読んでいるということでしょうか。また、これによりReaderの動作全体も速くなったかというと、そうでもないようで、ページを行きつ戻りつすると頻繁に「お待ちください」が出ます。タブレットの動作がどんどん加速している昨今、専用読書端末のスローモーさがますます際立って感じられます。

2.行頭鍵括弧が全角取りに
 以前、「ソニーReaderの行頭半角括弧に泣く」という一文に書いた通りの迷惑な仕様が、今回のアップデートでようやく改められたようです。これで会話の多い小説の文章も違和感なく表示できます。文字組み関係では他にも変化が。これまで3字以上のルビで親字の上下の字間が広がってしまい、総ルビの鏡花では時に文字面に隙間がめだったのですが、アップデート後は3字ルビでも親字は通常の字間を維持しているようです。ただし、古い繰り返し文字の「くの字点」の行末行頭への泣き別れや句読点の行頭禁則違反といった現象は、新しいファームにも持ち越しているようです。なお、フォントは筑紫明朝で変わりませんが、これまでやや細長かった縦横比が正体に調整されたように見えます。また太字の指定も効くようになりましたね。

3.NCXナビの廃止
 Readerはこれまで、EPUBのシステム目次を、EPUB2のNCXファイルからしか読んでくれなかったのですが、今回からEPUB3規格にのっとりXHTMLのナビ文章だけを読むようになったようです。これでReader・kobo・Kinoppy・Kindleという主要リーダーのナビ文書がEPUB3規格で揃ったわけで、もうNCXとXHTML、二つのナビゲーション文書を用意する手間をかける必要はなくなりました。といいたい所ですが、今回のアップデートはReader PRS-T3SとPRS-T2が対象で、PRS-T1以前の端末はそのまま。それらのことを考慮すると、まだNCXは用意しておいた方がいいのかもしれません。逆に、自作の『鏡花短編選』はNCXしか用意していないため、アップデート後のReaderではシステム目次は表示されず、新たにXHTMLナビ文書を作らなければならないということになってしまいました(これから作るつもり)。同じく、上の1と2の改良についても、PRS-T1以前のReaderには及ばないため、それら機器では上記の問題は残ったままです。

4.ノンブルがようやくまともに
 これまでReaderのノンブル表示はなぜか「15-16」といった曖昧なものだったのですが、アップデートでようやくまともになりました。しかし、こんなのはバグに近いもので、本来発売前に正しておくべきものでは? いやはや、といいたくなりますが、まあ素直に喜びましょうか。

(追記)7月2日に2世代前のPRS-T1とPRS-G1にも同内容のアップデートが来ましたね。残るは初代のPRS-650・350ですが、さすがにこれは望み薄かもしれません。

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