『南游志』アルバム4〈熊野本宮・熊野川の勝景〉
「山上山有り。升(のぼ)りて復下る。四里にして小口村に抵(いた)る。日已(すで)に斜めなれば、逆旅に宿る。」(『南游志』三月三十日)
「早に湯峰を辞し、本宮に到る。入りて諸神廟を拜す。廟宇壮麗なり。」(閏三月二日) 「乃ち謀って舟を買ひ、熊野川を下る。…忽ち攅峰の東岸に駢立する有り。獨り荷葉皺を作す。清峭喜ぶ可し。之を問ふに、橦木山と曰ふ。山下、一大石を出だす。巻軸の状を成せば、絹巻と曰ふ。但、舟行迅速にして詳玩を得ず。」(同) 「萬歳谷を過ぐれば、老杉森列し、杉盡くる處、一飛泉を得。長紳垂下するが如し。曳布瀑と曰ふ。其の南、兩級の泉有って、葵瀑と曰ふ。並びに西岸に在り。對岸、三級の泉有って、三重瀑と曰ふ。三瀑相望めば、人の心目を清くす。」(同) |