あれっ! ソニーReaderがIVSに対応してるぞ
先週、マイクロソフトがofficeでのIVSへの対応を発表しましたね。そんなこともあって、今日なにげなく、以前作ったお試しIVSのEPUB本「親子そば三人客」をNexus7のソニーReaderアプリで開いてみると、あれっ、なぜか異体字が表示されています。
我が目を疑うとはこのこと。最近視野がますます模糊としてきた目をしばたたきつつ擦りつつ、何度も確認してみますが、間違いありません。
「しかしアプリの能書きには一切そんな記述はなかったぞ」
「いや、融通の利くアンドロイドアプリなら、こっそり先行してやってるってことはあるかもしれん」
などと理屈にもならないことをつぶやきつつ、ウェブサイトのアップデート情報を確認してみてもどこにもIVSの文字はみつかりません。何が起こったのでしょう。
まずは事態をより明確にするために、異体字の混ざり込んだ小説なんかではなく、IVS文字の羅列ページを別に作ってそれを読ませてみます。「親子そば三人客」のIVS化の時に作ってあった異体字の一覧を使って、基本字とそれに異体字セレクターを付したものをずらり並べてみました。それをNexus7のReaderアプリと二つのソニー端末PRS-T1・PRS-T2に読ませてみると…。
なんと、アンドロイドアプリとともに読書端末のPRS-T2でも異体字セレクターが効いていることが判明。いやーめでたい、本邦初の電子ペーパー端末によるIVS対応です。これまでIVSに対応していたのは iOSアプリのKinoppy と bREADERだけでしたから。一方、旧型のPRS-T1では異体字セレクターは効いていません。最新版にファームアップしていますが、確認してみるとPRS-T2とはファームウェアのバージョンが違います。最新のPRS-T2とアンドロイドのReaderアプリだけがIVSに対応したようですが、これは個人的基準では大ニュース。雨の日曜ということもあって、急遽報告の作成に至った次第です。
それにしてもソニーさん、こんな大きな前進をなぜ伏せているのでしょう。非対応端末の利用者の不興を買うのが心配だから? あるいは制作側の混乱を恐れたため? まあ確かに異体字が表示できる端末とできない端末が混在しているなかで、どちらの字で読まれるか分からないというような本作りはしづらいでしょうから、こんな一部機種でのIVS対応というような事態はプロの制作者にとって無くもがなのことかもしれません。しかし、ある種のコンテンツ(たとえば鏡花本。本来の文字が容易にほぼ完全に再現できる)にとってはこれは大きな僥倖であるわけで、それどころか文化的な前進でもあるわけで、そこをアピールしてもよかったのではないかと思います。
追記:今頃になってこんなことに気づいたというのも情けない話ですが、ソニーReaderのIVS表示はまだ完全ではないようですね。拙作の「親子そば三人客」IVS版を表示させると、ページ間で何文字かが脱落してしまうという現象が見られます。アンドロイド版のReaderアプリでも専用端末のPRS-T2でも起ります。同じくIVS対応のアンドロイドおよびiOS版Kinoppyでは問題ありませんから、当方のEPUBファイルの手抜かりが原因ではなくReader側の問題でしょう。折しも本日新しいソニーReaderPRS-T3が発売になりましたが、このIVSも含めてこれまで報告してきた問題点が修正されたファームウェアになっているのかどうか…。(2013.9.24)