新ソニーReader感想
先日来、新しいソニーReader “PRS-T1” で遊んでいます。もう少し待てば3G対応版も出るようですが、数千円高くなるし、自分の使い方ではそこまでの通信機能は必要ないのでWiFi版にしました。
これまでは5型のポケットエディションを使っていて、新型は一回り大きい6型のみになったので、最初はかなり大きく感じました。ほぼ新書版と同じという実サイズ以上に大きい印象です。ペーパーバックと機械が与える感覚の違いでしょうか。外出に気軽に伴うにはやはりポケットエディションの方が適していると感じます。でも、持った感じはとても軽いですね。旧型は箱体に金属を使っていましたが、今回はオールプラスティックになって、サイズの割にとても軽く感じます。この軽さで旧型と同じく小形バージョンがあっても面白かったかなと思います。
操作面で一番の変化は、画面の拡大縮小がピンチイン/アウトでできるようになったことでしょうか。これは特にPDF文書を読む際に非常に便利になるのではないかと思います。そして、旧型の拡大ボタンに代わって「バック」ボタンが設定され、簡単に一つ手前の画面に戻れるようになりました。旧型ではタッチ画面上にバックボタンが表示されていましたが、使いにくいし、表示されない場合もあって、これもいい改良だと思いますが、WiFi対応になってネットブラウザが搭載された以上、必須の機能ではありますね。
また、ページ送り時の一瞬暗転するような画面の遷移とその遅さは、電子ペーパーの最大の弱点だと思いますが、新型では画面の暗転はあるものの、遷移は少し速くなっています。ただ、新しいKindleはさらに進んでいて、画面の暗転なしで数ページのページ送りができるそうですが、まあ、ページ送り時の挙動なんて慣れてしまえば、さして気にならなくなります。iBooksのページをめくったように見せる効果も、感心するのは最初の間だけです。
肝心の文字の読みやすさは、旧型と変わらない印象ですが、電子ペーパーのバックの色が室内では少し旧モデルよりくすんで見えます。紙並みにとは言わないものの、もう少し反射性を高められないものでしょうか。表示速度の遅さといい、電子ペーパーはまだまだ発展途上ですね。フォントが選べないのも相変わらずで、この点は今後も期待できそうにありません。文字のサイズ変更は旧型の6段階から8段階に少し細かくなりましたが、ごく小さな文字から巨大な文字までを機械的に8段階に分けただけなので、使い頃のサイズ付近できめ細かく設定できるような、もっと実用的な設定にしてほしいと思います。
せっかくのWiFiモデルですから、ストアからオンラインで本を買うだけでなく、さらに広いネット利用を試してみました。ちなみにReader のインターネットブラウザーはFlashが表示できない以外は十分な機能を持っているようですが、それだけに電子ペーパーの表示の遅さがめだちますし、単色画面では読みづらく、サイズが近いタブレット並みのスムーズなブラウズを期待するとがっかりします。まあ、何かの時の代替機程度に考えておくのが無難でしょう。しかし、多少モタモタしても直接文書ファイルがダウンロードできるならとアクセスしてみたのが、Google booksと国立国会図書館の近代デジタルライブラリー、どちらも著作権切れの本をPDFで公開しています。
結果からいうと、どちらもダウンロードはアウト。Google booksはなぜかダウンロードに失敗しますし、近代デジタルライブラリーは、Readerのブラウザーが2つ以上のポップアップ画面を開けない仕様のため、ダウンロードに進むことさえできません。ならばとパソコンでダウンロードしたPDFをDropboxに置いて、ReaderからDropboxにアクセスすることで取り込むことができました。ちなみに当サイトの鏡花PDFもDropboxに置いていますので、問題なくReaderにダウンロードすることができます。
とまあ、いろいろ書きましたが、業界目線を借りて言えば、ソニーReaderは上陸迫るKindleに今のところ唯一対抗できる期待の国産読書端末です。価格ではアマゾン商法にとても太刀打ちできませんが、機能では上を行っている部分もあります。多種類のフォーマットをサポートしていることもあって、国内書店はReaderとの提携を加速し、その塁に寄ってアマゾンの攻勢に対抗するということになりそうな雲行きです。一方個人的には、epub3に早期に対応してくれそうな唯一の端末がReaderですから、その点でも大いに期待しています。