ソニーReaderのfloat処理に拍手
ソニーReaderのアップデート情報、追加。
今になって気づいたのですが、Readerは画像に文字を回り込ませる floatに関して、かなり進んだ処理を実装しているようです。
自作本の『航薔日記』のアマゾン Kindle販売版には、末尾にオリジナルの紀行文を追加していて、その文中に挿入した写真には、文字が写真を回り込んで配置されるよう CSSで floatを指定しています。ところが、この floatが EPUBリーダーにとって難物のようで、たとえば指定した位置に写真が十分に入るだけのスペース(縦書きでは横幅)がないと(そういうことは頻繁に起り得ます)、写真はその後ろの文字ごと次ページに送られ、そのページには大きな空行ができることになります。これは、Kindleをはじめ、Kinoppyでもアップデート前のReaderでも同じでした。たとえば、こんな具合。
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これはKindle Paperwhiteのキャプチャーですが、写真を「どこにでもあるはずはなかった。/翌日もなかなか船が」の段落間に「float:right」で配置していて、ご覧のように横幅が足りないため、その後の文章ごとそっくり次のページに送られて、ぽっかり空白ができてしまっています。ところが、その同じ個所をアップデート後のReaderで見ると、こんな具合。
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ここでも、写真の指定位置には十分な横幅が残されていないのですが、なぜか指定の位置に写真は入らず、そのまま文章だけでページを埋めて、写真は次ページに送られています。だから、Kindleのように空白行はできていません。これは素晴らしい!
以前に、この画像回り込み問題に関して「このようなことが起こるのは、文章の特定の位置にしか挿図の指定が行えないからですが、それをもっと幅をもたせて一群の文章のどこか適当な位置に置くといった指定ができて、それをリーダー側が空白が出ないように塩梅できるようになれば、もうちょっと改善されるのではないかと思いますが、果たしてそんなことが可能なのかどうか。」などと書いたことがあるのですが、今回のアップデートでReaderはこの「塩梅」を実現してしまったのではないでしょうか。ともあれ、これは素晴らしい進化で、他のリーダーもぜひ追随してほしいもんだと思います。加えて、Kindleに特化する前提で施した横書きのキャップションもみごとに表示されています。これもアップデート前は縦書きになっていました。
まるでこのサイトの小うるさい注文に反応したように、多くの問題を解消してくれたソニーReaderの今回のアップデート。世界的な撤退で苦境に立つソニーの電子書籍事業ですが、日本ではこれを機に、特にオープンでスタンダードな読書システムの供給者として、何とか巻き返してもらいたいものだと思います。