『南游志』の地図をGoogleマップ化
既刊の斎藤拙堂の紀行文『南游志』は、江戸末に熊野古道をほぼ忠実にたどりつつ紀伊半島を一周した旅の記録で、地図と突き合わせつつ読むといっそう興味が深まります。で、文中の主要な地名には外部リンクを施して国土地理院の地図に飛ぶようにしているのですが、個々の地点は把握できても旅全体の流れが地図上で確かめられないのがもどかしいところ。かといって、すべての宿泊地をポイントした付録地図では大雑把過ぎるでしょう。
そこでGoogleのマイマップを利用して拡大縮小自在な南游志地図を作ってみたのですが、さて問題はこれをEPUBにどう組み込むか。Googleマイマップにはサイト埋め込み機能があって、〈iframe〉タグに囲まれた埋め込み用の文が書き出されます。一般のウェブページではこれをコピーペーストするだけで独自情報を盛り込んだ地図がサイトに表示できるというわけですが、EPUBに書き込んで見ると残念ながら空白ページになるかフリーズするかという結果に。
結局、文中の地名リンク同様、既存の概略地図の下に外部リンクを置いて、ブラウザーでGoogleマイマップを表示することにしました。右のように、マップには宿泊地・経由地がポイントされ、地名一覧をタップすると各地点の説明や写真が表示されます(これはアンドロイドの場合、iOSのGoogle Mapsアプリでは少し表示が変わるようです)。写真はまだわずかですが、今後追加していく予定。もちろんリーディングシステム内に直接マップが表示できればよかったのですが、タブレットのブラウザーにもマイマップの操作はけっこう負担が大きいようですので(専用端末では推して知るべし)、さすがに読書アプリには無理な注文でしょうね。むしろ、ブラウザーと連携した電子書籍の外部リンクの可能性をもっと考えるべきかもしれません。