グリフウィキ(GlyphWiki)で作る外字画像
弊舎のように古いテキストをEPUB化していると、どうしても避けて通れないのが外字。EPUBはユニコードに拠っていて扱える文字はShift_JISのように貧弱ではありませんが、それでもしばしばリーディングシステム上で豆腐(〼)になってしまうだろう文字に出食わすのは、仕方のないところです。
多くの場合、作成段階で略字・書換字・異体字といったものに置き換えることで事前に対処可能ですが、そもそも文字そのものがユニコードや、ユニコード内の文字であってもリーディングシステム内に存在しないこともたまに(素材によってはしばしば)あり、その場合は文字画像を用意して文中にはめ込むことになります。
で、当初から頼っているのが、グリフウィキ(GlyphWiki)なのですが、その利用が余りに簡便なので、まだ御存じないEPUB本作者のために簡単にご紹介しておきます。
グリフウィキは大東文化大学の上地先生が管理されているグリフ(漢字字形)収集サイトで、wikiベースなのでブラウザー上で誰でも自由にグリフを作成・追加することができます。といっても、我々のような漢字の非専門家が安易に手を出すのは迷惑のもと。あくまで本体の編集には手を触れずに、そのシステムと成果を利用させていただくというスタンスでいいのではないかと思います。
具体的には、捜す漢字がすでにグリフウィキ内に存在する場合は実に簡単。SVG画像として表示し、ファイルメニューから保存するだけ。後はそれをEPUBのイメージフォルダなどにコピーし、HTMLとCSSで文中に挿入します。その際、グリフウィキの文字は少し小さめのようですので、イメージの widthとheightは1.1emで指定しています。グリフウィキのフォントは細めの花園明朝ですが、SVG画像ですので文字を拡大縮小してもなめらかに表示され、一般的な明朝の本文表示のなかではほとんど違和感なく見ることができます。もちろん、リーディングシステムをゴシック表示に設定していたり、EPUB上でゴシック指定した場合は、その文字だけ明朝のままになりますが、それは現状では致し方のないところ。今のEPUBとリーディングシステムにおいて、外字を明朝・ゴシック双方で表示することは可能なのでしょうか。
万一グリフウィキに目当ての漢字が見つからない・見つけられない場合は、作字ということになりますが、そのための専用のグリフエディタも用意されています。既存の文字の部品を組み合わせて作字することも、ゼロから手書きで作ることも可能。その辺のチュートリアルはヘルプメニューの「どうやって使うのか」に丁寧に説明されていますので、こちらもハードルはかなり低めです。ただ、我々非専門家はsandboxという練習用の文字升を使って作字し、それをSVG画像で表示して保存、利用すればいいでしょう。sandboxは作字の履歴が完全に残るようですから、もし必要なら管理者の方がコレクションに登録してくれるかもしれません。
なんだか何も貢献せずいいとこ取りの利用法で申し訳ないような気もしますが、それも許容してくれているのがグリフウィキというシステム。おかげで実にスムーズに外字に対応できています。